先週DVDが発売されたので、ちょっと触れておきます。
世界的なパニック映画ブームのさなかの1973年末、『日本沈没』の記録的な大ヒットで勢いづいた東宝は、翌74年の『ノストラダムスの大予言』、そして75年のこの作品、とパニックスペクタクル路線を展開していった。前二作は比較的規模の大きい破滅スペクタクルだったが、この作品はちょっと毛色が違う。原作は田中光二の『爆発の臨界』。当時小学2年生だった私も劇場に見に行った。
原油を満載した超大型タンカー、アラビアンライトが、<POFFDOR(資源公正分配推進組織)>と名乗る6人のゲリラにシージャックされる。彼らは鹿児島県の喜山CTS(石油備蓄基地?)の爆破と、その模様を全世界にテレビで生中継することを要求。繁栄に驕れる日本が大打撃を受ける姿の見せしめだ。要求が拒絶されれば、東京湾の真ん中でアラビアンライトを爆破するという。そうなればコンビナートの誘爆や有毒ガスの発生を引き起こし、東京は壊滅状態に陥る。苦渋の決断を迫られた日本政府は、何と特撮映像を使ったニセのテレビ中継という奇策に打って出る…。
映画のフィルム撮りとテレビの生中継の画質は全然違うんじゃないか(昔と今の『水戸黄門』みたいな感じの違い)と子供心にも思ったが、そこら辺に目をつぶれば、一種の犯罪サスペンスとしてそこそこ楽しめる(ほぼ同じ時期に公開されていた東映の『新幹線大爆破』と、内容的にもかなりカブっている。どっちも丹波センセイ出てるし)。
さて、このアラビアンライトの乗組員がスゴい顔ぶれ。船長が『Gメン‘75』のボスになったばかりの丹波哲郎、一等航海士が湾岸署の署長こと北村総一郎(若い!)、コック長が『太陽にほえろ!』の長さんこと下川辰平、そして石油採掘の技師が仮面ライダー&『特捜最前線』の藤岡弘、。見事に刑事系が揃っているが、他にも宍戸錠や内田良平なんかが船員役で出ている。いくらタンカーだからって、こんなに脂っこいメンツを揃えなくても…。
対するゲリラは黒人ばかり。中でも、戦時中に家族を日本軍に殺され、日本人を徹底的に憎悪するキファル役には、「プレ~イガ~ル」のダミ声の主と言われているケン・サンダース。ところが、ゲリラの一人ムンクは実は日本人。彼に扮しているのは何と水谷豊。当時すでに人気俳優であり、当初は船員役にキャスティングされていたのを、自らゲリラ役に志願したそうだ。そう言えば彼も『相棒』の主演か。あ、『熱中時代刑事編』もね。
ちなみに劇中の喜山CTSは、鹿児島県の喜入町に実在する石油備蓄基地がモデルになっているのは南九州人には一目瞭然。私は小学校の修学旅行の時にここを見学に行き、一個一個のタンクのバカデカさにちょっとビビりながら、数年前に見たこの映画のことを思い出し、「確かにここが爆発したら大変だ!」と思ったことを覚えている。ついでに書くと、鹿児島市から伸びている有料道路・指宿スカイラインの途中の展望所(地名失念)から喜入の石油基地が一望に見下ろせる。劇中の喜山CTSそのままの眺めだ。
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